Q ワインとクレープの組み合わせは何から着想を得たのか
ワインとクレープの組み合わせは、フランスの食文化から着想を得ています。
フランスにはクレープ屋が街の至る所にあり、日本の喫茶店や蕎麦屋のように日常に溶け込んでいます。
フランスでは特にブルターニュ地方を中心に、クレープやガレットをお酒と一緒に楽しむ文化があります。
現地ではシードルと呼ばれる林檎のスパークリングを合わせるのが定番ですが、実際に食べていく中で、「クレープはワインとも相性がとても良い」と感じるようになりました。
クレープは、生地の香ばしさやバターの風味、塩味や甘味のバランスがあり、合わせる具材によってさまざまなワインと組み合わせることができます。
食事系であれば白ワインや軽めの赤ワイン、デザート系であれば甘口ワインなど、それぞれ違った楽しみ方が生まれます。
一方で、日本では「クレープ=スイーツ・食べ歩き」のイメージが強く、ワインと合わせる文化はまだ一般的ではありません。
だからこそ宵味では、“ワインをより自由に楽しむための料理”としてクレープを提案しています。
Q オープンするまでに一番大変だったことは
ワインバーをやる、ということ自体は決まっていたのですが、それ以外は本当に何も決まっていない状態からのスタートでした。
お店の内装、コンセプト、メニュー構成、ワインリスト、HP制作まで、かなり短い期間の中で一気に進める必要があり、毎日が手探りだったと思います。
その中で特に感じたのは、ひとつのお店を作るには、想像以上に多くの方の力が必要だということでした。
内装、デザイン、施工、写真、WEB、食材、ワインなど、それぞれに専門の方がいて、本当に多くの方に支えていただきました。
一方で、自分自身はすべての専門領域に詳しいわけではありません。
ただ、お店は自分自身の大切な場所なので、「なんとなくお任せする」のではなく、しっかりコミュニケーションを取りながら、一緒に方向性を作っていく必要がありました。
その調整や会話は想像以上に大変でしたが、結果的に色々な方の想いやアイデアが重なって、今の宵味らしさに繋がっていると思います。
同時に、「このお店をちゃんと大事にしていきたい」という気持ちも、オープン準備を通してより強くなりました。
Q お店を始めて良かったことは
前の質問とも少し重なるのですが、やはり一番大きいのは、「こんなにも多くの方に支えられてお店ができているんだ」と実感できたことです。
オープン準備から現在に至るまで、本当にたくさんの方に関わっていただき、その繋がりのありがたさを日々感じています。
その上で、実際にお店を始めて良かったと感じるのは、「人が集まり、繋がる場所」を作れたことです。
友人や知人がふらっと立ち寄ってくれたり、そこから新しい会話や出会いが生まれたり。
また、お客様同士がワインをきっかけに自然と会話をされている場面を見ると、とても嬉しくなります。
まだ小さなお店ではありますが、ワインという共通言語を通して、人と人がゆるやかに繋がる“コミュニティハブ”のような空間になっていけばいいなと思っています。
自分たちがお客様と出会えるだけでなく、お客様同士の新しい繋がりが生まれていく。
それが、この仕事をしていて良かったと感じる大きな理由のひとつです。
Q 店名の由来は
「宵味」という名前は、竹久夢二の『宵待草』から着想を得ています。
昔から、夕暮れから夜に変わっていく“宵”の時間帯に、1日の中でも特別な高揚感のようなものを感じていて、その時間をゆっくり楽しめる場所にしたい、という想いがありました。
“宵を味わう”という意味も込めつつ、「味」という字は“まち”とも読めることから、飲食店としての意味合いも重ねています。
Q お店作りにおいて大事にしている軸は
お店作りで大切にしているのは、「心地良さ」と「体験」のバランスです。
お店全体の雰囲気としては、どこか懐かしさのある“大正クラシック”をイメージしています。
町家の空気感や照明、音楽も含めて、少し非日常だけれど、どこか落ち着く。
実家に帰ってきたような安心感のある空間になればと思っています。
気軽にふらっと立ち寄れて、気づけば長居してしまう。
そんな場所を目指しています。
その上で、宵味は「ワインとクレープの店」として掲げているので、やはりワインとクレープには強いこだわりがあります。
ワインに関しては、次の3つを意識したラインナップを大切にしています。
- ファインクオリティ(高品質)
- ヴァリューバランス(価格と価値のバランス)
- エクスペリエンス(体験性)
高級ワインを並べることだけが目的ではなく、「この価格でこんなワインが飲めるんだ」「こんな地域や品種があるんだ」という発見や楽しさを感じてもらえることを重視しています。
また、クレープについても、一般的な“スイーツ”というより、「ワインバーで提供するクレープ」として考えています。
生地の香ばしさやバター感、塩味・甘味のバランスなど、ワインやその他のお酒と合わせた時にどう感じるかを意識しながら、一つひとつ構成しています。
空間、ワイン、料理、それぞれが主張しすぎず、全体として心地良い時間になることを大事にしています。
